関西ばら会

長居公園にて「やさしいばらの育て方」の講習会を原則偶数月・第1日曜日・14時~16時に開催しております(要予約 教材費200円必要 お申込み 花と緑と自然の情報センター 06-6694-8788 )また、常時会員の募集を行っています。Mail: kansaibarakai@yahoo.co.jp にお問い合わせください。

関西ばら会です! 長居公園内「花とみどりと自然の情報センター」にて「やさしいばらの育て方」の講習会を行っております。(要予約 教材費200円のみ必要 原則偶数月 第1日曜日 14:00~16:00 お申込み・お問い合わせ 花と緑と自然の情報センター 06-6694-8788) Mail: kansaibarakai@yahoo.co.jp

1日40鉢の秘密

昨日(28日)は仕事納めの出勤で、丸一日ばらの作業を休みました。

で、今朝から鉢の土替え作業を再開しました。

 

当・関西ばら会の会員であるマッキさまやfammygoldさまから、1日40鉢の土替えに関してお言葉を頂戴しております。

今日はその秘密を白状?いたします。

 

答えは我が愛車の「台車マシーン」の使用です。

愛用の「台車マシーン」

荷物を載せる部分が荷物の大きさに合わせて伸縮できるタイプの台車です。

不細工な波板のガードは、今は三十路になった長男が高校時代に取り付けてくれたシロモノで、ビニールテープで補強しながら現在なお使っています。

この台車には8号鉢なら10~11株、10号鉢なら6株を積載できます。

8号鉢11株積載

写真には11株が写っていますが、この後すべてが「生還」するかどうかは分かりません。

鉢から抜いてみて、根がひどく弱っている株は廃棄処分にします。

(実際にこの中で1株は「帰らぬ株」になりました。。。後述します。)

これを、第1作業場としてお借りしている畑に運び上げます。

第1作業場へ

この約30mの急な坂道が両膝痛のジジイには苦痛です。

写真で急勾配であることが分かっていただけるでしょうか?

第1作業場

広々とした畑で景色は抜群です(東に淡路島、正面に四国、西に小豆島と家島諸島……この写真では見えませんね。また改めて写真を撮ります)。

画像の奥の右側は仮剪定で切り落とした枝(後でまとめてガーデンシュレッダーで処理)、左は根や雑草(後で生ごみとして出します)。

これに近づきますと、

切り落とした根と枝

左側の、根をまとめたゴミの中の矢印は、廃棄した株の根部です。

それはさておき、

台車マシーンから降ろした鉢

ここでそれぞれ仮剪定をして鉢から引き抜きます。

鉢から引き抜いた株

根鉢の土を踏んだり蹴ったり殴ったりして、出来る限り全部、根鉢の土を落とします。

踏んだり蹴ったりの根鉢

土がほぼ落ちた株

元の鉢(8号)に収めるために、根を一握りの長さ(約10~15㎝)にバッサリと切ります。

根を短く切る

それぞれの株に同様の処置をします。

畑での作業終了

数えてみると、畑に持ち上げた株は11株あったのに、1株減っています。

その1株は根の状態が悪かった(根頭癌腫病ではありません、根の老化による株の衰弱)ため、廃棄しました。

 

畑(第1作業場)での作業を終えた株を、自宅庭先の第2作業現場に運びます。

その際、玄関先に「関所」があります。

玄関先の関所

左はカイガラムシ及び越冬ハダニがいた場合に塗布するマシン油乳剤の準備、右の名札及びマジックは、名札が破損したり名前が薄れたりした株のメンテナンス用です。

なお、真ん中の名札の山は、今回の土替えで廃棄処分にした株に付けてあったものです。

名札のメンテナンス―1

名札のメンテナンス―2

この関所を無事通過した株は、いよいよ新たな用土で植え替えます。

定番の鉢植え用土

用土のブレンドは例によって例のごとく(園芸の土[松田商事製]・20ℓ+赤玉土[中粒]・14ℓ+腐葉土・14ℓ)の資材を2袋ずつ開封し、ブルーシートの上で軽く混ぜ合わせます。

植え替え用土―1

植え替え用土―2

ここでの攪拌はあまり丁寧にやる必要はありません。

3種類の資材が大体混ざり合えばOKです。

丁寧な攪拌は、鉢に入れた後「突き固める」時に十分に行えます。

この後の植え替えの手順は、

届いた秋苗の植え付け - 関西ばら会 (hateblo.jp)

ツルばら誘引+鉢の土替え - 関西ばら会 (hateblo.jp)

などをご覧ください。

なお、この2袋ずつのブレンド(20ℓ×2+14ℓ×2+14ℓ×2=96ℓ)は、8号鉢で12~13株、10号鉢で4株の植え替えが可能な分量です。

(8号鉢は約5.2ℓ、、10号鉢は約13ℓの容量がありますが、用土を鉢の中でガチガチ・ギシギシに突き固めますので、それぞれの袋に記載されている容量通りの鉢数の植え替えはできません。)

 

かくして午後4時前に今日の作業を終え、風呂で汗を流してから膝痛治療のため鍼灸院に行ってきました。

12月29日の鉢替えー1(上から)

12月29日の鉢替え―2(下から)

今日も約40株(38株?廃棄6株)の植え替えを完了しました。

この中には、

ロクレア/チンチンのお世継ぎ

も含まれています。

この2株は、1月には

樹齢30年越え - 関西ばら会 (hateblo.jp)

1月30日 チンチン/ロクレア

こんな感じでした。

今日の植え替えで、お世継ぎ養成、大成功の巻ということになりました。

 

明日も引き続き鉢の土替え作業をします。

鉢の土替え始めました

晴天・無風で気温高めという絶好の作業日和。

朝から鉢の土替えを始めました。

12月27日 土替え作業場

右のごみ用のポリバケツは、用土を入れ替えた鉢をとっぷりと浸(つ)けて、鉢底から水を吸わせ、且つ鉢の上からホースでウォータースペースいっぱいに水を注いで、充分に灌水するために使います。

左上の白地に赤い文字が入った袋は、伝家の宝刀マグアンプK(大粒)の20㎏入りです。

12月27日朝 作業開始前

12月に入ってから灌水をせず鉢土を乾かしてあります(2回ほど雨に降られましたが)。

柔らかいステムが枯れたり、葉が黄変して落葉を始めたりしている株もあります。

この後の作業の様子は、今日は写真を撮りませんでした。

鉢の土替え作業の詳細は、昨年12月28日のブログ

ツルばら誘引+鉢の土替え - 関西ばら会 (hateblo.jp)

及び12月29日のブログ

鉢の土替え作業 続行 - 関西ばら会 (hateblo.jp)

を併せて御覧下さい。

 

今日一日で約40鉢の8号鉢をやっつけました。

12月27日夕 作業終了ー1

別の角度から。

12月27日夕 作業終了―2

予備剪定をして、ほとんどの株が35~40㎝の高さになっています。

中に枝が極端に長く残っているものがありますが、これは接ぎ木の穂木を採取するためのものです。

また、写真には40鉢程が写っていますが、これ以外に鉢から抜いて根をチェックした際に、根がひどく衰弱している株と根頭癌腫病があって樹勢が弱ってきた株……約10株ほどを廃棄しました。

講習会の時にも申し上げましたが、私は「根頭癌腫があるから廃棄する」という栽培法をしません。

癌があっても樹勢を維持してシュートを出している株がたくさん(60%以上)あります。

そんな株は「With 癌」で栽培するべきだと思います。

「癌があるから廃棄する」というのは、明らかに樹勢が衰えている株だけで良いと思います。

なお、前にも書きましたが癌のある株の枝を穂木にして「お世継ぎ」を作ると、ほぼ100%癌が遺伝します。

8月中に発生するシュート及び根頭癌に関する素人考え - 関西ばら会 (hateblo.jp)

根頭癌腫病のために樹勢が衰えて廃棄する株が貴重な品種である場合は、癌の遺伝を前提にした上で穂木を採取して接ぎ木をします。

そのお世継ぎが「With 癌」で生育する株になればラッキーと考えています。

 

明日も作業日和の予報ですが……どうしても年内にするべき仕事があって職場(京都)に出勤します。

次のばらの作業日は明後日29日です。

ツルばらの誘引完了

世間様は年末の仕事納めに向けて動いていますが、私は「ばらの作業休暇」3日目。

昨日、葉をむしって裸にしたツルばらを、今朝から誘引して「懸崖作り」にしました。

 

12月26日 誘引前―1

12月26日 誘引前―2

12月26日 誘引前―3

朝も早くから家内さま大明神のありがたい御手を拝借して、午後2時頃には作業を終えました。

12月26日 誘引完了(エマニエル)

12月26日 誘引完了(ザマッカートニーローズの枝変わり/
ドンファン

毎年、このエマニエル+ザマッカートニーローズの枝変わり+ドンファンで階段の上にトンネルをつくります。

ツルばらのトンネル(上から)

ツルばらのトンネル(下から)

次は、懸崖作りのメンバーです。

懸崖作り(荒城の月/メイドオブオーナーの枝変わり)

懸崖作り(つるデンティベス)

12月26日 懸崖作り(上から)

12月26日 懸崖作り(下から)

懸崖作りでは、多くのツル枝の先端が根の場所(ブロックの内側)よりもさらに低い位置まで誘引されています。

そうするとそのツル枝は、春の花(1番花)を咲かせた後、急激に力を失って衰弱します。

2番花までは何とか咲きますが、その後は病虫害の発生源になってしまいます。

その様子を見て始めたのが「ツルばらの梅雨明け剪定」です。

当初は夏以降の病害虫の発生源を取り除くのが目的でしたが、梅雨明け剪定を行うと、その直後から新たなシュートが続々と出ることが分かりました。

この発見は「ケガの功名」とでも言うべきでしょうか?

 

で、その「ケガ」ですが・・・

やってしまいました。。。

ちょっと気を抜いたとたんに、太いシュート枝が跳ね返って顔面を殴られました。

ツルばらに殴られました

眉毛のすぐ下から、何年ぶりかの大量出血。

タオルもジャンバーも皮手袋も血みどろになりました。

幸いなことに私は眼鏡をかけておりますので、目は無事でした。

しかしメガネのフレームが大きくゆがんでしまいました。

皆様も、ツルばらの誘引の作業時には、ツルの跳ね返りに十二分にご注意ください。

 

注意と言えば、もう1点。

麻布の利用

枝が折れたり擦れたりしないように麻布を使う皆様も多いと思います。

しかし、この麻布の部分からカイガラムシが発生することがよくあります。

麻布を使っていらっしゃれば、時々(1ヶ月に1度程度)は麻布部分にカイガラムシが発生していないかどうか、観察してください。

 

さて、明日からはいよいよ冬の作業のメインイベント……鉢土の交換を始めます。

(本当に)冬の作業開始

天気予報通り強風が止み、朝から「冬の作業」を始めました。

 

毎年、手始めはツルばらの誘引作業です。

まずは鉢を作業の邪魔にならないように片側に寄せます。

12月25 ツルばらの作業準備

12月25日 作業前のツルばら

画像 右側の繁っている株は「つるデンティベス」です。

柿色の実(ローズ ヒップ)を楽しむために、「梅雨明け剪定」をせずに春花の咲いたツルをそのまま伸ばしてあります。

今年は猛烈な台風の来襲が無かったためたくさんの実がついていましたが、昨日・一昨日の強烈な西風のために、随分落ちてしまいました。

12月25日 落ちたデンティベスの実

とは言え、ご近所に少し差し上げ、我が家で正月の南天代わりに使う程度は「収穫」できました。

12月25日 デンティベスの実

そのデンティベスの株ですが、樹齢35年以上になって樹勢の衰えが目立ちます。

この間、おそらく10数匹のゴマダラカミキリを育てたのでしょう、株元はスカスカで空洞だらけです。

ゴマダラ連中は、もはや株元に産卵するのを諦めたのか、ふと気づけば……

12月25日 デンティベスの大鋸屑ー1

一番太い幹の地上50㎝ほどの所に大鋸屑(おがくず)を発見しました。

「絶対にテッポウムシを引っ張り出して、今日のブログのメインにしよう」と意気込んで、硬い樹皮を剝(む)きながら大鋸屑跡を辿(たど)りました。

12月25日 デンティベスの大鋸屑ー2

あらら???

このパターンの食害に遭った時は比較的容易に犯人(犯虫?)を発見できるハズですが、さすがに「テッポウムシ退治の迷人」!

情けないことにテッポウムシを見つけることができませんでした。

仕方なく、カイガラムシ退治と併せて、マシン油乳剤20倍液を刷毛(はけ)であたり一面にタップリと塗っておきました。

12月25日 デンティベスの大鋸屑ー3

夕方になって通り雨、その後に再び西寄りの季節風が強くなってきました。

本格的な冬の作業の初日は、ツルばらの葉をむしって裸にするだけで終了しました。

12月25日 作業終了―1

写真中央、右側に光っているのは我が家の池(瀬戸内海)です。

12月25日 作業終了-2

12月25日 作業終了-3

12月25日 作業終了-4

12月25日 作業終了-5

12月25日 切り落としたツル枝

明日は裸にしたツルを懸崖状態に誘引する作業の予定です。

 

今朝、(たぶん)今年最後の採花をしました。

12月25日 朝

強風に吹かれてボロボロです。

冬の作業開始……のハズでしたが、、、

世間ではクリスマス イブだそうですが、ばら作りをする身にとっては1年間のネタの仕込みの時期。

クリスマスはばらの作業で苦しみます……と毎年ワン パターンのオヤヂ ギャグ。

というわけで、本日より1月10日まで長~~~~~~い「ばら作業休暇」を取って、冬の作業を開始!

。。。の予定でしたが、昨日来の猛烈な西風で、今日は何もできずに終わりました。

明石のアメダスでは、昨日の最大瞬間風速は15時53分に西の風23.1m/sec 、今日は今のところ02時14分に西の風18.9m/sec と、いずれも台風並み。

12月に入ってから灌水をやめて土を乾かしている鉢植えは、軽くなっていますので、バッタ バッタと倒れております。

12月24日 強風―1

12月24日 強風―2

鉢を起こしてもまたすぐに倒れますので、そのまま放置してあります。

 

例年、ツルばらの誘引から冬の作業を開始します。。

ツルに残った葉をむしることから始めますが、この強風のおかげで葉が随分吹き飛んでいます。

12月24日 強風―3

12月24日 強風―4

12月24日 強風―5

手間が省けてよかった……と思いきや、葉柄が残っていますので、やはりそれをむしり取る作業が必要です。

 

1週間前の土曜日、講習会で接ぎ木の実習をしました。

その時の台木を持ち帰り、翌18日に3株の接ぎ木を行いました。

品種は「八甲田」という1983(86?)年、角谷勇蔵氏(当時、青森ばら会理事)の作出花です。

私が駆け出しの頃に栽培して大変気に入っていたのですが、ちょっとしたミスで枯らしてしまった品種です(白色で強香、弁端にわずかにピンクが乗る剣弁高芯花。ガーデンパーティーが剣弁になったようなイメージです)。

この数年、あちこち問い合わせて穂木を探していたのですが、見つかりませんでした。

今年の10月、京都府立植物園に植栽されているという情報を耳にして、八方手を尽くし、ありとあらゆる人脈を駆使して、今月初めに何とか穂木を手に入れました。

しかし、それが非常に細くて頼りない。。。直径3~4㎜ほど。

穂木を手配してくださったI氏も「また改めて1月の末にもっとマシな穂木を探してみる」と言ってくださったのですが、とりあえず18日に接いでみました。

12月24日 八甲田―1

12月24日 八甲田―2

接いだ時には、全く芽のふくらみがありませんでした。

穂木は2週間ほど冷蔵庫の野菜室で「冬」を体験させてありましたので、その「冬」を抜け出した暖かさで芽が動いただけなのかもしれませんが(とは言っても、全く暖房のない雨戸の締まった縁側に放置)、3株のうち少なくとも2株の芽は動き始めています。

はてさて、この先どうなりますことやら。

もしもこの接ぎ木が成功したら、私は間違いなく「天狗」になって「接ぎ木名人(自称)」を名乗ると思います。

本格的な接ぎ木(30株ほど)はこの「ばら作業休暇」の中で、次の寒気南下による強風で外仕事のできない日に行う予定です。

 

明日は猛烈な西風が少しは収まるという予報ですので、ツルばらと格闘することになりそうです。

講習会の補足

日本海側では大雪だそうですが、石川・福井の会員の皆様、様子はいかがでしょうか?

明石では天気は良いものの冷たい西風が吹き荒れ、外仕事は午前中で打ち切りました。

 

さて、昨日の講習会で質問がありました事柄について、ここで補足しておきます。

まず、台木の管理について。

すぐに接ぎ木をしない場合、台木をどうすればよいか……という質問でしたが、お庭の日の当たらない場所に仮植え~~斜めに植えて(十分に水を与え)土をかぶせる~~しておきます。

私も接ぎ木は(12月末から)1月上旬に行いますので、とりあえず今日、畑に仮植えしました。

台木を穴の縁に沿って、斜めに並べて水を注ぎます。

台木の仮植え―1

この状態で株が隠れるほど土を入れて、もう一度水を注ぎます。

そうすると、水とともに根の隅々まで土が入ります。

その後、株がほぼ隠れるほど土をかぶせて終了です。

台木の仮植え―2

この状態で2ヶ月程度は問題ありません。

 

次に、昨日は「切り接ぎ(穂接ぎ)」を実習しました。

私自身も切り接ぎをしておりますが、以前は「芽接ぎ(張り芽接ぎ)」をしたこともありました。

講習会テキストにも簡単にその方法を記しましたが、神奈川在住の当ばら会会員であるマッキ様からもリクエストがありましたので、ここでもう少し詳しく紹介します。

まず、切り接ぎの穂木は硬く充実した1番花または2番花の咲いた枝を使いましたが、芽接ぎに使う芽は秋花が咲いたステムの中ほどの芽を使います。

ステムを切って、すぐに芽接ぎの作業をしても構いませんが、日数に余裕があれば、次のような準備作業をしておくと良いと思います。

芽接ぎに使う芽の準備―1

良い葉が付いている箇所の芽を使いますが、ここぞと思う部分の葉(黄色の円内)を、芽接ぎ作業を行う5~7日前に葉柄ごとむしり取ります。

芽接ぎに使う芽の準備ー2

すると、5~7日後には、

芽接ぎに使う芽の準備―3

ふっくらと膨らんできます。こんな芽を使うと活着率が上がると思います。

次は芽接ぎの作業です。

台木の準備

写真の台木は、2月にトゲナシノイバラの種を蒔き、発芽したものを5号プラスチック鉢に植えて10ケ月育てた自家製台木です。

鉢植え株ですので細根がびっしりと生えていて、畑育ちの市販の台木とは様子が違います。もちろん、市販の台木を使うのが普通です。

台木の上部(クラウン部分)は切り離してはいけません。このまま使います。

根は手のひらで一握りの長さ(10㎝程度)に切り詰めます。

まず、台木のクラウン部分を握って、「鉛筆削り方式」で深さ2~3㎜まで削り下げます。

切り接ぎは1~2㎜の深さで削り下げましたが、芽接ぎはそれよりもやや深く削り込みます。

台木の「削り下げ」……ステップ①

長さ1.5~2㎝ほど削ってナイフを抜きます……ステップ①。

次に、ナイフの刃に30~45°程度の角度を付けて切り込み、ステップ①でナイフの刃を止めた部分に「顎(あご)」を作ります……ステップ②。

台木の切り込み……ステップ②

台木の切り込み……「顎」の完成

ステップ①の削り込みによって、台木の形成層(写真の緑色部分)が見えているはずです。

もちろんステップ②で作った顎の内側にも、目視はできませんが形成層が現れいるはずです。

さて、今度は接ぎ芽の準備です。

芽の上下を間違えないように、まず芽の上1㎝の場所から深さ2~3㎜程で芽をえぐるようにナイフを入れます。

芽をえぐり取る―1

芽をえぐり取るー2

芽の下5~7㎜で刃を抜きます。

次いで台木の時と同様に、ナイフの刃に30~45°程度の角度を付けて切り込み、芽を枝から取り外します。

角度を付けて刃を入れる

取り外した芽

写真右側の切り口の角度が、台木に作った顎の内側の角度と一致することが必要な条件です。

その角度が一致することにより、斜めに切れている樹皮のすぐ内側にわずかに見えている?形成層が、台木の顎の内側の形成層にピッタリと合うはずです。

この両者の角度の不一致が、芽接ぎ失敗の1つの原因になります。

なお芽の裏側は、

取り外した芽の裏側ー1

こちらの方が、形成層がわかるでしょうか?

取り外した芽の裏側―2

取り外した芽の裏側の形成層

この形成層と、先ほど台木に入れた切り込みに見えていた形成層とがピッタリと一致することが、絶対に必要な条件です。

つまり、芽接ぎの名人であれば、

台木の切り込み(赤矢印)と接ぎ芽(青矢印)

この両者の形が全く同じになり、次の作業で台木の切り込みに接ぎ芽がジグソーパズルのようにピッタリとはまり、すべての形成層が重なり合って確実に活着する……はずですが、我々素人はなかなかそうもいきません。

ましてや、私のような「芽接ぎ迷人」は両者の形がひどく違いますので、活着率が上がらず、芽接ぎを「卒業」、否「落第・退学」することになったのだと思います。

それはさて置き、台木の切り込みに接ぎ芽を挿入します。

接ぎ芽の裏側の木質部や髄は取り外しません。

台木に芽を挿入

上述のように、台木の切り込みと接ぎ芽の大きさが違いますので、台木と接ぎ芽の形成層の一方同士がピッタリと一致するよう、接ぎ芽の位置を微調整します。

今の画像、お気づきですか?

台木に芽を挿入……実は失格

ご覧の通り、台木の形成層が見えています。つまり、接ぎ芽と台木の形成層が一致していません。

この接ぎ木は活着しません。。。これが芽接ぎ失敗の一番多い原因です。

接ぎ芽をあと0.3㎜台木の皮側に寄せなければなりません。

台木と台芽の形成層のどちらか一方同士をピッタリと合わせる作業が終われば、接ぎ木テープ(ニューメデール)を巻きます。

接ぎ木テープを巻くー1

台木の顎より下の部分(接ぎ芽にかからない部分)から巻き始めます。

顎の部分は何重に巻いても構いませんが、芽の部分は一重にし、またさらにその上は二重以上巻きます。

接ぎ木テープを巻くー2(芽の上は一重)

実はこの時に芽接ぎ失敗の原因の3つ目が潜んでいます。

こんな感じです

接ぎ木テープを巻くー3(失敗の原因)

お分かりでしょうか?

芽の上を一重に巻く時に、テープを伸ばすために横に強く引っ張ると、

接ぎ木テープを巻くー4(ずれた芽)

こうなります。

接ぎ芽全体が横に引っ張られて、形成層の一致が大きくずれてしまいます。

芽の上を覆う時には、接ぎ芽に余計な力が掛からないよう、十分に注意します。

接ぎ木テープを巻くー5(完了)

接ぎ木テープを巻くー6

この状態で、接ぎ木テープの部分が完全に地上に出る深さで、4.5号のビニールポットまたは5号程度の鉢に植え、十分に灌水します。

室内の南向きの窓辺などに置き、昼間は日光に当てます(カーテン越しでも可)。

2週間ほどするとクラウン部分の芽が一斉に動きますが、そのまま放置します。

1ヶ月ほどして、接ぎ芽が動き始めたことを確認できれば、接いだ部分の上で、クラウン部分を切除します。

クラウン部分を切除

以上、私自身は今では give up した芽接ぎ(張り芽接ぎ)の手順を詳述しました。

切り接ぎ(穂接ぎ)と芽接ぎ(張り芽接ぎ)ともに、1月を最適期として行う作業(12月中旬~2月末まで可能)です。

どちらの接ぎ方がご自分に適しているか、試してみるのも良いと思います。

台木を入手して接ぎ木を覚えると、ばら作りの楽しみの幅が広がります。

 

最後に、ダブルディライトの「花中花」の今日の様子です。

12月18日 花中花

下段の花がすっかり散ってしまいました。

上段の花は双子です。

いずれにしてもお恥ずかしい窒素過多の現象でした。

12月の講習会 終了しました

本日(17日)、12月の講習会を行いました。

午前中は会員様限定で接ぎ木の実習、午後は通常通り、会員以外の皆様にも参加していただいて、12~1月の手入れについてお話いたしました。

午前中から雨模様でしたが、多くの皆様に参加していただき、ありがとうございました。

 

まずは午前中の接ぎ木実習の様子です。

たくさんの穂木

N顧問のレクチャー

実習の様子―1

実習の様子―2

 

午後からは「やさしいばらの育て方」講習会、12~1月の手入れ(枝の整理・植え込み・冬の元肥・ツルばらの誘引など)、冬の鉢植えの作業・管理などについてお話ししました。

やさしいばらの育て方ー1

 

やさしいばらの育て方ー2

 

長居公園の十月桜、例年通り咲いていました。

十月桜―1

 

十月桜ー2

 

本日の講習会にご参加くださった皆様、お疲れ様でした~~

12月17日(土)講習会開催します

12月17日(土)、長居植物園内花と緑と自然の情報センター1階セミナー室において、講習会を開催いたします。

10:00~接ぎ木実習……関西ばら会会員対象です。

教材費として、¥2.000 を頂戴します。

さらに多くの台木をご所望の場合は、+1人分、2人分・・・の教材費を加算してください。

14:00~通常の「やさしいばらの育て方」の講習会です。

12~1月の手入れの話が中心になります。

鉢の土替え(秋苗の植え付け)、ツルばらの誘引、冬の元肥、接ぎ木の話題が中心です。

会員以外の皆様は、教材費として¥200を頂戴します。

よろしくお願いします。

 

その「やさしいばらの育て方」講習会の12~1月分のテキストに掲載した写真を、以下に並べます。

画像は基本的に、このブログで使用したものです。

カラーコピーのテキストでは分かりにくい場合は、こちらの画像を拡大してご覧ください。

 

写真-1 鉢株の地下ろし

 

写真ー2 私の冬の元肥(世間様とは違います)

 

写真ー3 鉢植え用土+マグアンプK

 

写真-4 鉢の土替え―1

 

写真ー5 鉢の土替え―2

 

写真-6 鉢の土替え―3

 

写真-7 鉢の土替え―4

 

写真-8 鉢の土替えー5

 

写真-9 鉢の土替え―6

 

写真-10 鉢の土替え―7

 

写真-11 鉢の土替え―8

 

写真ー12 鉢の土替え―9

 

写真―13 鉢の土替え―10

 

写真-14 鉢の土替え―11

 

写真ー15 鉢の土替え―12

 

写真ー16 鉢の土替え―13

 

写真―17 ツルばらの誘引―1

 

写真-18 ツルばらの誘引―2

 

写真ー19 ツルばらの誘引―3

 

写真-20 ツルばらの懸崖作り

 

写真-21 カイガラムシ

 

写真ー22 越冬ダニ

 

写真-23 マシン油乳剤を塗布

 

写真ー24 切り接ぎ―1

 

写真-25 切り接ぎ―2

 

写真ー26 切り接ぎ―3

 

写真ー27 切り接ぎのカルス

 

写真ー28 切り接ぎ―4

 

写真ー29 切り接ぎ―5

 

写真ー30 切り接ぎ―6

 

写真-31 切り接ぎ―7

 

写真ー32 切り接ぎ―8

 

写真ー33 張り芽接ぎ―1

 

写真-34 張り芽接ぎ―2

 

写真ー35 張り芽接ぎ―3

 

詩や新-36 張り芽接ぎ―4

 

切り接ぎで「絶対にケガをしない方法」が気になるというメールを頂戴いたしましたが、写真-25のように、台木を切り下げる時に「鉛筆削り方式」を採用することです。

詳しくは、2022年1月1日のブログ

接ぎ木しました - 関西ばら会 (hateblo.jp)

をご覧ください。

 

とりあえず、「やさしいばらの育て方」12~1月分のテキストに収録した写真でした。

一日中テキスト作り

晴れ時々かなりきつい通り雨の一日でした。

巨木になった柚子の収穫を午前中に終わらせましたが、昨年に続き1000個以上ありました。

(たぶん)50㎏以上の実を抱え続けていた柚子の母木?に、思わず脱帽。

心の底から「ご苦労様でした」と声を掛けました。

 

今朝採花した初冬の花、少しだけ並べます。

12月11日 プリンセス ド モナコ

 

12月11日 シーアブリス

 

12月11日 アンペラトリス ファラー

 

12月11日 マーガレット メリル

 

12月11日 バイ アポイントメント

 

12月11日 プレイボーイ

 

12月11日 朝

 

そして、例のダブル ディライト。

12月11日 花中花

下段の花が息絶え絶えの限界状態ですので、今日がベストの姿かもしれません。

 

さて、今月末の鉢の土替えの際、鉢土が乾いていた方が鉢が軽く作業がラクです。

そのため12月に入ってから鉢植えに灌水をしていません。

その結果、早くも萎(しお)れている株が散見されます。

12月11日 水の切れた鉢植え株―1

12月11日 水の切れた鉢植え株―2

上の1の画像の株はまだ大丈夫ですが、下の2の株たちはやや乾き過ぎでしょう。

このまま月末まで放置すると、今年出たシュートの表皮まで皺(しわ)の寄るほどになりますので、ジョウロで少しだけ水を与えました。

 

水を必要とする……という点においては、1週間前に鉢から地に下した株で面白い画像が撮れました。

12月11日 植え付け1週間後

鉢植えを地に下す時には「根鉢を崩さずに植える」と書きました。

上の画像の黄色の円内は、その鉢植え時の根鉢部分(=白根が充満している部分)です。

根の張っている部分は周囲に比べて乾いています。

つまり、それだけ水分を吸収していることになります。

水分や養分を吸収する白根の張り具合の重要性が分かります。

 

柚子の収穫以外、時々通り雨もあった関係で、ずっとPCに向かって「やさしいばらの育て方」のテキスト12~1月分の作成に没頭しておりました。

先ほどようやく完成し、17日の講習会に何とか間に合いました。

使用した画像(例によって36枚)は2、3日中にこのブログにUPします。

で、その講習会、午前中(10:00~)は会員様限定で接ぎ木の実習を行います。

参加してくださる皆様に、必要な持ち物をご覧いただきます。

接ぎ木実習 必要な持ち物

右から軍手、剪定ばさみ、皮手袋(利き手ではない片方)、厚刃のカッターナイフと接ぎ木ナイフです。

穂木を切断するために剪定ばさみは必需品です。

台木を切り下げる際、刃が滑って(右利きの場合)台木を持つ左手をバッサリと切って大量出血をする可能性が高いので、その左手(利き手でない方の親指の付け根付近)を守るために、皮手袋があればご持参ください(軍手でも事故回避はできると思いますが)。

なお、私はビビリ(怖がり)で血を見ることがこの上なく恐怖です。

先ほど擱筆したテキストには、私が採用している「絶対にケガをしない台木の削り方」を紹介しています。

切り接ぎ用の接ぎ木ナイフを使用するのが理想ですが、厚刃のカッターナイフでも十分に代用できます。

刃の部分が小さく細い「芽接ぎナイフ」も使えますが、それよりはカッターナイフの方が使いやすいと思います。

この他、接いだ苗木を持ち帰るレジ袋があると良いでしょう。

また午後の講習会まで参加なさり苗の植え付けが遅れそうな皆様は、苗の根の乾燥を防ぐために1株ずつ新聞紙を濡らして包んだ方が良いでしょう。

その新聞紙(水道は会場にあります)もご持参なさった方が安心です。

 

というわけで、2・3日中にテキストに使った画像をUPします。

初冬の花

12月7日が二十四節気の大雪、次はもう冬至(22日)になります。

が、今日はまだ小春日和ともいうべき穏やかな一日でした。

とは言え、12月17日の講習会に間に合わすべく、テキスト作りで1日が終わってしまいました。

 

初冬の朝の空気の中、咲き残った花の蕾が見られます。

12月10日 手児奈

 

12月10日 プリンセス ノブコ

 

12月10日 光華

 

これらが開花できるかどうか……明日、明後日の気温次第だと思います。

 

今週は1回だけ採花できました。

12月8日 朝

出勤前の採花は真っ暗な中で花を切ります。

カンテラで照らしながらハサミを持って花を見て回る姿は不審者そのものです。

 

例のダブルディライトの「花中花」も、エエ感じで開花し始めています。

12月8日朝 花中花

 

12月10日 花中花

これまた、明日、明後日の気温次第で上段の花が咲くか咲かないか……これまでの「花中花」の中で一番面白い写真が撮れそうです。

 

今日は講習会用のテキスト作成のため庭の仕事を全くしておりませんが、この2、3日の間に地植えの冬の作業用資材が次々と届いています。

冬期作業用資材(地植え用)

もみ殻堆肥は、1株に5~6ℓ、サングアノは1株に500gほど施します。

私は(毎度申し上げる通り)ばら作り教科書にあるような「冬の元肥」は与えません。

理由は、この時期に施した油粕などの窒素肥料が分解し始めるのは、気温が上昇する3月下旬以降、そして肥効が現れるのは4月中旬以降。

つまり、5月の開花は窒素肥料が効いた状態で花が咲くことになります。

当然花色はボケますし、花芯も乱れます。

したがって、冬期には窒素肥料を与えてはいけない……講習会でしばしば力説していることです。

ただ、リン酸肥料は開花期に残っていても花形に悪影響を及ぼすことはありません(と思います)し、花色はリン酸が効いていた方が鮮明になります(と思っています)。

つまりリン酸肥料を施すのは「今でしょ!」というわけで、ほぼ1年間分の分量をこの時期に施します。

もみ殻堆肥を与えるのは、土壌をフカフカにし、放線菌を始めとする有益な菌類を補充するためです。

世間では牛糞堆肥を施す人が多いようですが、牛糞堆肥には思わぬ「落とし穴」がありますので注意してください。

それは思いのほか窒素分が多く含まれていること!です。

油粕等を与えず、窒素肥料をセーブしたつもりでも、牛糞堆肥を入れてしまえば元も子もないということになりますので注意してください。

(私は地植え株を植え替える時には、根が直接触れない深いところに、排水性・保水性を考えて牛糞堆肥を入れますが、それ以外には牛糞堆肥を使いません。)

もみ殻堆肥にも多少の窒素分(2.4%)が含まれますが、花形・花色に影響するほどの量だとは思いません。

また、サングアノはバットグアノの代わりです。

天然のコウモリの糞を使ったバットグアノは高価ですので、10数年来、比較的安価なサングアノを使用しています。

粒状になっていて使いやすい製品です。

明日以降、時間を見つけてこれらを地植えの株間に鋤(す)き込むつもりです。

 

……しかし、講習会テキストの執筆が最優先課題です。