9月3日の「ブログ版・秋花剪定(その1)」は大変多くの皆様に御覧いただきました。
ありがとうございました。
前回の剪定例は「劣等生」をモデルにしたとは言え、シュート並みに太いステム2本と鉛筆の太さのステムが1本があり、しかも葉がたくさん繁っていましたので、剪定位置がすぐに判断できました。
今回は下葉が落ちてほとんど葉が残っていない株、または全く葉のないステムなど、困ったもんだの問題児を私なりの方法で剪定しましたのでご覧ください。
この夏の猛暑で樹勢が弱ったり水切れを起こしたりして下葉を落としてしまった皆様、あるいはダニが発生して多くの葉を振るってしまった方々、参考になれば幸甚です。
ただし、こんな問題児には立派な秋花を期待することは出来ません。
曲がりなりにも秋花を咲かせ、花瓶代わりのコップで楽しむ……そんなレベルの花しか咲かないということは御承知おきください、悪しからず。。。
では、問題児その1……樹齢3年の「ビッグ パープル」です。
秋花剪定は2月の春花剪定とは違い、剪る位置(芽)に「葉があること」が大前提です。
ところが……
この株はシュートが3本出ました。
2本は万年筆の太さ(左・右)、1本は鉛筆の太さ(中)です。
通常、シュート枝の葉が落ちることは稀です。
しかしこの品種は特別に葉が落ちやすいようです……3本のシュート全部で葉が落ちています。
右の枝に近づきます。
上方に少しだけ葉が残っています。
①の位置には良い芽があります。
しかしここで剪定すると、このシュート枝には葉が1枚しか残りません。
次に②の位置で芽を探します。
ふっくらとした芽があります。
さらに③の位置を見ます。
上方の芽はすでに伸びています。
矢印の位置にも芽がありますが、ほとんど動いていません。
そこで……
この枝は②の芽で剪ることにしました。
次に、残りの2本のシュートです。
左の万年筆の太さのシュートは、上方にステムが少し伸びています。
しかしそのステムで剪ることは出来ませんので、葉が皆無になりますが、矢印のふっくらとした芽で剪って、様子を見ます。
このシュートは、今年の秋花は期待できませんが、来年の春花剪定で「二毎芽(にまいめ)剪定」あるいは「三芽(みめ)麗しく剪定」できると思います。
中の鉛筆の太さのシュートは円内の葉が1枚だけ……これは剪定せずにそのまま残しました。
というわけで、
こんな不格好な株になりました。
次、問題児その2……樹齢5年のユートピアです。
右の枝は5月の1番花のステムを4段ほど伸ばしたものです。
左は曲がりなりにもシュート枝ですが、途中で2本枝が出て、1段目から2段目で三又(みつまた)になっています。
で、本来ならば、
黄色の円内に葉があればそこで剪定したいのですが、その葉が……無い!
しかし、良い芽はあります。
こんなふっくらとした芽……切り捨てるには惜しい。
そこで、こうします!
もう1本のシュート枝も、
芽の少し上を折り曲げてしまいます。
切り花農家の皆様がやっていらっしゃる「折り曲げ剪定」です。
折り曲げたステムの皮がつながっていれば、上方の葉が萎れることはありません。
右のシュート枝の三又ですが、一番勢いのある中の枝を折り曲げ、残りの2枝はそのまま残してあります。
折り曲げた所の芽が10~15㎝程伸びて5枚葉が2~3枚展開すれば、折り曲げた先の枝は切り捨てます。
(なお、折り曲げる際は必ず手(指先)で折ってください。かつてペンチで挟みステムを潰(つぶ)してから折り曲げたことがありましたが、潰した所から黒変し、ステムの下方=株元まで壊死してしまいました。折り曲げる際には、必ず皮手袋などをした人間様の「手」で折り曲げることが必要です。)
以上、2タイプの問題児で特殊な剪定を御覧いただきました。
本当はこんな「奥の手」は使いたくはないのですが、夏の間には葉を落とすトラブルが起こりがちです。
以上のような「背に腹は代えられぬ」という非常手段は覚えておいても損はないと思いますが、コンテストレベルの秋花は健康優良児のシュート枝にしか咲きません。
明日は午後から傘マークになっていますので、夕方、定期薬剤散布を行いました。
今日のレシピは、
フルピカフロアブル(殺菌剤)……40㏄
ジェイエース水溶剤(殺虫剤)……100g
ディアナSC(殺虫剤)……30㏄
アプローチBI(展着剤)……100㏄
水……100ℓ
気温がやや下がってきましたので、今週からダニ対策のバイオアクトは使っていません。