午前中、空は晴れ渡り風も弱く、しかし寒気が入り込んでいるようで気温もさほど高くなく、大変気持ちの良い日曜日でした。
人間様が気持ち良くばらの作業をしている間に、こっそりと別の作業をしているヤツらが来ていました。
夕方、薬剤散布の前に鉢植えの灌水をしていて異常に気づきました。
多くのステムは萎(しお)れていませんが、何本かステムの上部がぐったりしています。
2020年以来、3年ぶりにヤラレました、バラクキバチの襲来です。
被害に遭ったのは、昨日、側蕾摘みをして「ちょうどコンテストの頃に開花しそうだ」と書いたばかりの「手児奈」たちです。
すでに蕾が大きくなっているステムの花首は硬くなっているので、ヤツらの産卵管が刺さりません。
蕾が小豆大のステムは柔らかいため、格好のターゲットになります。
今日は「犯人」の姿を見ておりませんが、「やさしいばらの育て方」講習会のテキストに写真を載せてあります。
2009年4月30日に撮影したものです。
あの時は、偶然手に持っていたベニヤ板で、飛んでいるヤツを思いっきり叩き落して撮影できました。
ヤツらは細いステムを一切無視し、コンテストレベルの花を咲かせそうな立派なステムだけを選んで産卵しますので腹が立ちます。
萎れてしまったステムは元に戻りません。
放置すると孵化した幼虫が茎の内部を喰いながら下方に移動しますので、切除する必要があります。
萎れた部分を健全な5枚葉を1枚つけて切除し、1.5番花(6月上旬~中旬、1番花と2番花の間に咲く花……私の勝手な造語です)を咲かせることにします。
今日はもう一つ、同様に「5枚葉を1枚つけて切除」という作業を、午前中に行っています。
なぜこのステムを切ったのかお分かりでしょうか?
ポイントは花首です。
御覧のように「修正不能の首曲がり」の蕾です。
お庭で咲かせて楽しむというのであれば、そのまま咲かせても問題ありません。
しかし、コンテスト出品はもとより、切り花にして楽しもうというのであれば、この首曲がりの状態で咲かせるのは見苦しい。
だったら、いっそのこと1.5番花に期待した方が良いかな?というのが私の考え方です。
首曲がりのパターンは、上の画像 ↑ と同様ですが、
蕾のすぐ下に柳葉(1枚葉)が出ているパターン ↑ 。
または、
花首の途中に柳葉(1枚葉)が出ているパターン ↑ 。
さらには、
花首がケロイド状に引き攣(つ)っているパターン ↑ などがあります。
繰り返しますが、お庭で咲かせる場合はそのまま咲かせても構いません。
しかし、切り花にする場合は見苦しいので「5枚葉を1枚つけて切除」し、1.5番花に期待します。
側蕾摘みが終わってホッとしていると、思わぬ伏兵に襲われることがあります。
それは、側蕾が発生していた部分よりも5枚葉1~3枚分ほど下の芽が分岐枝として伸び始めることです。
上の画像は「都大路」ですが、この傾向はコンフィダンスの血筋を受けた品種に多く見られます。
この分岐枝にも花が咲く可能性が高いのですが、ステムとしては貧弱になり、本来の2番花を咲かせるには細すぎるステムです(2番花のステムは、さらに5枚葉2~3段程度下の芽を花後に剪定し、伸ばします)。
こんな分岐枝は生え際から除去します。
しかし、この画像のように分岐枝が10㎝以上になってから切除すると、その切除跡は、
この傷跡がもう1日経過すると、
御覧のように、大きな傷跡が残ってしまいます。
お庭で咲かせて楽しむ場合、または家庭用の切り花で楽しむは何の問題もありません。
しかしこれがコンテストに出品された場合は、この傷跡は大きな減点要素になります。
3~4作品の花の出来栄えが同等で僅差の勝負になった場合は、こんな傷跡のある作品は真っ先に落とされます。
コンテスト出品を考えた場合、分岐枝は、
せいぜいこの位の大きさになった段階で処理しなければなりません。
以上、通常の栽培では全く気づかいの必要がない、コンテスト派の管理法でした。
昨日の「ヒデさん」の開花について、4月9日に開花日の予想をして的中しました。
この開花日の予想について「2週間前になぜ開花日の予想ができるのか」というメールを頂戴しました。
40年近い経験です……というのが結論ですが、一応の目安があります。
品種により、またその年の気温により、多少の差はありますが、
蕾の萼が少し割れて、隙間から花の色が見え始めると、開花2週間前です。
萼が割れ始めると、12~13日前です。
萼がつぼみから離れ、下がり始めると開花11~12日前です。
萼が花弁から離れ、花弁全体が見えるようになると、開花8~10日前です。
萼が半分ほど下がり、花弁が丸裸になると、開花6~7日前です。
萼が完全に開くと開花4~5日前です。
花弁が動き始めると、開花3~4日前です。
外弁が花芯から離れ始めると、開花1~2日前です。
以上、あくまでも目安です。
今年の春のように気温の高低差が激しい場合は、急に開いたり、逆に開花が2~3日止まったりします。
夕方、定期薬剤散布をしました。
今日から規定通りの濃度で散布します。
かつ、コンテストまで3週間。
葉に汚れ(薬痕)が残らない薬剤を選んでいます。
今日のレシピは、
フルピカ フロアブル(殺菌剤)……50㏄
スピノエース フロアブル(殺虫剤)……30cc
アプローチBI(展着剤)……100㏄
水……100ℓ
*スピノエースは「顆粒水和剤」には「花卉類」の適用登録がありますが、「フロアブル」にその登録がありません。使用の際は自己責任ということで。。。
咲くやこの花館のホームページに「大阪ばら祭2023」のイベント情報があります。
大阪ばら祭2023 | 大阪の植物園-咲くやこの花館- (sakuyakonohana.jp)
お時間があればご覧ください。
来週はいよいよ今春の花の画像をUPできると思います。